米国のトランプ大統領は何を考えているのか? 大統領就任以来の彼の言動は、 全て最終的に対中国戦略の一環なのか? (例:イスラエルとハマスのガザ紛争は、アメリカの調停でとりあえず停戦にこぎつけたので、後は、たとえウクライナに不利な形でもウクライナ戦争を早期に停戦させることで、中国との関係に集中できる態勢をとりたいように見える) (例:関税政策で中国に追加関税を課し、また中国から第3国経由の迂回輸出をさせないため、どの国にも一律25%の関税を課すのも中国の経済的弱体化を企図する対中戦略のように見える) (例:ウクライナ停戦を実現するために、ウクライナの主権と領土を犠牲にしてまでも、更に言えばヨーロッパ諸国の不信感を買ってまでもロシア寄りの姿勢を貫いているのは、中国に対抗するためロシアを自分の陣営に引き込みたいとの意図のように見える) 或いは、米国の富を占有しようとしている軍産複合体やDS(米国の金融・経済界・CIAやFBI等の連邦政府組織の一部・一部の政治家によるネットワーク)を殲滅するための戦略の一環なのか? はたまた、アメリカだけが利益を得れば良いとする単なる独善的な商売人・銭ゲバなのか?
イーロン・マスクにDOGE(政府効率化省)を運営させて、民主党左派の影響を受け世界各地に左派的な思想(ポリコレ、BLM、LGBTQ、SDGs、脱炭素等)を浸透させる工作を実施していたUSAID(米国国際開発庁)を解体したり、数々の大統領令を発出してバイデン政権の政策を180度覆そうとしていることは、トランプ流の新秩序を構築するための行動として評価もし、また世界最強の軍隊を持つ権力者なのだから仕方ないと、これまで私は思っていました。
しかし、ウクライナ戦争の停戦を仕組むために、ゼレンスキー大統領の頭越しにロシアと交渉し、あまりにロシア寄りの停戦条件(ロシアが侵略したわけではないとの誤った認識。ロシアに占領されたウクライナ領土におけるウクライナの主権を認めない等)を決め、それをウクライナとヨーロッパ諸国(多くがNATO加盟国)に押し付けようとしていることは全く賛同できません。2022年2月にウクライナに侵略したのはロシアであり、その侵略行為に先立ち2014年にクリミア半島を侵略し同半島を領土として併合したのもロシアです。
1994年12月にハンガリーの首都ブダペストでOSCE(全欧安保協力機構)が仲介し、ソ連崩壊後ウクライナに残された核兵器の措置について、アメリカ(クリントン大統領)・イギリス(メイジャー首相)・ロシア(エリツィン大統領)の3ヶ国首脳が合意しました。いわゆるブダペスト合意です。簡単に言えば、ウクライナが核兵器を放棄(ロシアに移転)する代わりに、ウクライナの安全をアメリカ・イギリスが保証するというものです。
しかし、2014年のロシアのクリミア侵略に際しては、この合意は機能しませんでした。2022年から始まったロシアのウクライナ本土への侵略に際しては、ようやく機能したかのように見えます。アメリカ・イギリスのみならず、他のヨーロッパ諸国や日本も軍事支援しています。とはいえ、ヨーロッパ諸国が軍事支援をしているのは、ブダペスト合意に基づく支援というより、ウクライナの次は自分たちが侵略されるという危機感が背景にあり、日本の場合は、ロシアの「力による現状変更」を認めることは、台湾侵攻を虎視眈々と狙う中国に誤ったシグナルを送ることになるという危機感が背景にあります。ということは「合意」など、簡単に破られ、捨て去られるということです。
最近トランプ大統領は、ウクライナに対し、停戦の見返りとこれまでのバイデン政権の軍事支援の見返り(代金)として、ウクライナ領内のレアアースの権益を寄越せ!とゼレンスキー大統領を恐喝しています。アメリカが覇権大国として戦争の調停をする、停戦交渉の仲立ちをすることは大国、そして国連安保理の常任理事国として当然の責務です。しかし、トランプは金目のものを俺に寄越せ!と言う。前代未聞です。ウクライナは、ロシアだけでなくアメリカからも攻撃されているようなものです。
更に先日(2/24)は国連において前代未聞のことが起きました。「ウクライナ紛争を早期に終結させ、ウクライナとロシアの永続的な平和を求める(侵略したロシアへの非難が盛り込まれていない)」という安保理決議にアメリカはロシア・中国とともに賛成しました。更に、「ロシア軍の無条件完全撤退、ウクライナの領土保全・主権の尊重」を盛り込んだ国連総会の決議に、アメリカはロシアや北鮮らとともに反対に回ったのです(イギリス・フランス・日本は賛成、中国・インドは棄権)。バイデン政権下では、ヨーロッパ諸国や日本とともにロシアを非難し、経済制裁も行っていたのに、完全にロシアに寄り添ってしまっています。やがてロシアの注文に応じ、経済制裁も解除するでしょう。
現時点での私のトランプへの評価は、最低です。かれは大国の責務を感じることもなければ、停戦後の国際秩序まで見据えた視点もないようです (このままだと世界は弱肉強食の帝国主義時代に戻ってしまいます)。自分だけが利益を得れば良いとする単なる独善的な銭ゲバです。
恐らく、ロシアの侵略を正当化し、現在占領しているウクライナ領土のロシアへの併合を認めるかたちで、束の間の停戦が成立するかもしれません。しかし、再びロシアはウクライナ全土併合を目指し再侵攻するでしょう。また中国は台湾武力侵攻に自信を深め、習近平の当面の任期末となる2027年までに侵攻するでしょう。アメリカは、「ウクライナの安全はお隣さんであるヨーロッパ諸国(ヨーロッパのNATO諸国)が責任を持つべし、俺に頼るな!」という態度なので、アメリカと他のNATO諸国との亀裂は深まるでしょう。アメリカが安全保障上の役割を果たさない国、頼ることができない国であるすれば、日米安保条約におけるアメリカの信頼性は著しく低下し、日本の安全は致命的なほどに不安定になります。中国が台湾侵攻した場合に、台湾の安全はお隣の日本と韓国が面倒見ろ!ということになりかねません。こうした危機感が石破政権にあるのでしょうか?


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