クリスマスの25日に塩釜消防事務組合(塩釜・多賀城・松島・七ヶ浜・利府の2市3町で構成している広域消防組合)の議会があり、そこで救急態勢の見直しの観点から一般質問をしました。(私は利府町町議会議員だけでなく、消防組合の議員もしております。)
救急案件数(救急車の出動を要請した件数)を市町別にみると、塩釜2680件(5.2%)、多賀城2476(3.8)、松島748(6.2)、七ヶ浜725 (3.9)、利府1356(3.8) 管内合計7772 (2024年.1-9月までのデータ。( )内は対人口比)となっています。データは1-9月までのもので、年換算では管内合計で10000件余りとなります。ちなみに、この救急案件のうち約66%が高齢者、また約20%が緊急性のない要請(例えばタクシー代わりに救急車を要請)となっています。
この救急案件を支える救急態勢が「救急車」と「救急救命士」ということになりますが、各市町の消防署ごとの保有状況は以下の通りです。
救急車:塩釜 2台 多賀城2 松島1 七ヶ浜1 利府1 本部2(予備)
救命士:塩釜11名 多賀城9 松島5 七ヶ浜4 利府6
救急車及び救命士の数は、国の「整備基準」に基づき、2市3町の広域消防管内で〇台、〇人と決められているそうですが、端的に言って、救急車は〇〇市には2台、〇〇町には1台という単純な割り当てのように見えます。
上記データを踏まえ、救急車1台あたり市町別の救急件数を見てみるみると、 塩釜1305件 多賀城1163 松島803 七ヶ浜684 利府1343となり、利府町消防署の救急車の運用は多賀城よりも厳しく、塩釜と同等ということが分かります。
また救命士1人あたり救急件数で見てみると、 塩釜 237件 多賀城 258 松島161 七ヶ浜171 利府224となり、利府消防署の救命士は松島よりも1.4倍の負担増となっているのが分かります。
救急車1台あたり市町別の救急件数や救命士1人あたり救急件数だけでも、救急態勢(救急車と救命士)が市町別でアンバランスとなっているのがわかりますが、人口との対比で見ると更に明確になります。例えば利府町の人口約36000、松島町が約13000ということで、利府町が約3倍弱。にもかかわらず、救急車が同じ1台というのは、かなり無理があるように思えます。
救命士の養成にも時間とコストが掛かりますが、特に救急車は1台あたり4500万円(高規格救急車両)ぐらい掛かるので、簡単には増加できません。したがって、現状は、例えば利府消防署の救急車が要請に基づき出動した場合において、更に新たな出動要請があった場合、近隣の他市町消防署から応援するといった「運用」で対応しています。しかし、その救急車と救命士の運用上の対応は一見合理的なように見えますが、物理的に近隣市町から利府町までは距離があり、利府消防署の救急車が現場に駆け付けるより多くの時間がかかります。また実際のところ、他市町の救急車が「利府町しらかし台〇丁目 〇〇さんから救急要請!」と言われても道路事情に不慣れであるため、道に迷ったりして時間が掛かる場合もあり得ます。
わたしは、上記のようなデータと運用上の限界を説明した上で、救急態勢の見直し(救急車両の増加と救命士の増員)を提言しました。更に、今後の高齢化の促進に伴い、真に救急を要する救急案件の増加が見込まれること、国の整備基準は最低限の基準であることを付言し、見直しの検討を提言したところです。
余談があります。1つは、議会終了後、消防長(塩釜消防組合のトップ)が挨拶に来られ、「良い質問をして頂きました。実は我々も同じ認識です。救急車等の整備には大きな予算が必要であることから、浅川議員の質問により関係市町長(塩釜消防組合は塩釜市長がトップの管理者、他市町長は副管理者)に問題認識が共有されたので良かったです。我々の仕事を後押しして頂けました。」と感謝されました。ちなみに一般質問で感謝されたのは初めてです。
もう1つは、救急車の有料化について。これまた議会終了後、ある消防吏員の方から、「現在の救急要請の約20%が緊急性のないものであり、大きな問題となっている。諸外国はもとより、日本でも一部の自治体では有料化の動きがあり、宮城県でも近い将来有料化の検討が進められることを期待している。数の限られた救急車両を有効に運用するため、この有料化検討は、新たな車両購入よりも先に論じられるべきもの。」というご意見を頂きました。正にその通りだと思いました。
今年の最後に充実感を感じた議会でした。
追記(07.01.16):今日の夕方のニュースで、インフルの大流行に伴い重症化する患者が多くなり入院が必要となるが、どの病院も既に満床に近く、救急隊員が受入先病院を探すのに場合によっては何時間も掛かったり、ようやく決まっても遠方の病院だったりするといった事例が多発しているとのこと。そうした場合には救急車の稼働拘束状態が何時間も続き、本来助かる命が助からず、また乗車している救命士などの救急隊員も疲弊することになります。また新たな救急要請があっても応じられない状況になります。やはり、救急車と救急救命士の数は余裕が必要です。少なくとも救急車1台では無理があります。


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