日本のAI大丈夫? DCへの電力供給問題!

国への思い

 AI先進国の米国でデータセンター(DC)を巡る電力不足が深刻さを増しているそうです。生成AI(人工知能)やクラウドサービスの急成長による電力需要の増加に対し、送電網や発電能力の整備が追いついていないためで、冬季の停電リスクや電気料金の上昇を招くなど影響は一般家庭にも及んでいるそうです。

 米国には建設中を含めて約3800のDCがあり、首都ワシントンに近いバージニア州、経済成長が著しいテキサス州、IT企業が集積するカリフォルニア州の3州に、全体の3分の1が集中しています。ちなみに日本の「生成AI向け(GPU/HPC対応)」のDCは、稼働中+建設中・計画中合計で約30件前後 と推定されています。

 DCは 莫大ばくだい な電力を消費します。大型DCは約10万世帯分の電力を消費する場合があり、建設中の最大級のDCでは、200万世帯分に相当する電力を消費する可能性があるといいます。といってもピンときませんが、国際エネルギー機関(IEA)の報告書によると、米国のDCによる電力消費は15年から24年にかけて年平均12%のペースで増加し、2024年の180TWh(テラワット時)強から2030年には430TWhに迫る見通しで、わずか6年間で2倍以上に増える計算となります。ちなみに、日本全体の電力供給量・発電量は、最新の統計で「年間約約1,000TWh(1兆KWh)なので、日本の総電力供給量が、原発の再稼働が遅々として進まないことなどから2030年の時点でも現状と変わらず年間約約1,000TWhと仮定すると、2030年時点でAI大国の米国ではDCだけで、日本の総電力供給量の4割強を消費することになり、DCが如何に莫大な電力を必要とするかお分かりになるかと思います。

 一方で、電力インフラの整備は、デジタル技術のように短期間で進めることは難しく、送電線や変電所、発電所の新設には一般に数年から10年の長い時間と莫大ばくだい なコストがかかります。米国では電力網の老朽化も進んでおり、既存設備の更新だけでも大きな負担となる見込みだそうです。

 となると、そのコストは電気代に転嫁されます。米消費者物価指数によると、電気料金は2025年に4.6%上昇しており、コロナ禍後の物価上昇も背景、2021年と比べると約30%高くなりました。特にDCが集中する地域では、設備増強のコストは電気料金に転嫁され、全米の電気料金は2030年までに平均で約8%上昇する見込みなのに対し、DCの密集地域では25%を超える可能性があるといいます。ハーバード大のアリ・ペスコウ講師(電力法)は「データセンターは民間企業が自らの利益のために建設している私有施設だ。そのためのコストを全員で分担するのは合理的ではない」と強調し、DC利用者には別体系の電気料金を設定すべきだと主張しています。

 トランプ政権は、生成AIを米国の競争力を左右する戦略分野と位置づけ、開発と投資の加速を重視してきました。その前提となるDCについて、ある米調査研究機関は「DCが米国内で建設できなければ、中国や中東など、電力が利用可能な地域に移るだけで、国家安全保障上の問題が生じる」と警告しています。

 しかし、米国内にDCを増やせば、安定稼働を支える電力供給と、家計や企業に及ぶコスト負担の問題は避けて通れない課題となり、大きなジレンマとなります。

 DC建設に起因する電力需要の構造的な増大は、電気料金を通じて地域社会にも重い負担をもたらしています。トランプ大統領は1月12日、自身のSNSに「データセンターのせいで、米国民に高い電気代を払わせたくない」と投稿し、対策を強化する考えを表明しました。これに応じる形で、米マイクロソフトはDCが立地する地域を対象に電気料金の上昇分を肩代わりするほか、電力会社が行う送配電網や変電所の増強費用を負担すると発表しました。

 長々と生成AI大国の米国で顕在化した電力網の限界を解説してきましたが、高市政権は成長投資の一環でAIに力を入れようとしていますしかし、日本全体の電力供給量・発電量は、最新の統計で「年間約約1,000TWh(1兆KWh)であり、DC需要には対応が困難なように思えます。資源エネルギー庁が2025年4月に公表したデータによると:火力:68.6%再エネ:22.9%、原子力:8.5%であり、2040年には原発の発電割合を20%にする目標を掲げています。しかし現状の再稼働進捗ではとうてい無理です。

 天候気象に発電量が左右される再エネや燃料コストの高い火力発電所をこれ以上増やさず、原発の再稼働を速めつつ、より安全性の高い小型モジュール炉(SMR)などの新規建設を考えていかないと、DC建設に伴う電気代高騰や冬季における停電リスクには対応不可能と考えます。

画像は東電の柏崎刈羽原発

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