私は、今回の米・イスラエルによるイラン攻撃を明確な国際法違反だと考えますし、米はイランの核開発を恐れるイスラエルに引きずられて攻撃に参加したものの、どのようにして戦争を終結させるか道筋を描き切れていないようにも思います。
2月28日に始まったアメリカとイスラエルによるイラン攻撃は、終息の兆しが見えていません。一昨日、トランプ氏は「イランに対する地上部隊派遣という選択肢を排除しない!」と発言、①それにより長期戦(泥沼化)の公算が高くなったこと、また②米・イ両国がイランの石油貯蔵施設を攻撃するとともにイランがバーレーン等近隣アラブ諸国の石油貯蔵施設を攻撃したことにより現油先物が119ドルまで高騰、世界中の株価が暴落しました。ところが昨日はトランプ氏が「イランの空軍、海軍、通信施設は完全に破壊された。戦争は終わる。」と発言し、原油先物や債券・株式相場は一旦落ち着いたかのように見えます。
戦争目的が①核開発阻止なのか?②政権転覆(体制変換の強要)なのか?よく分かりません。
①ならば既に目的は達成できつつあります。後は小規模の特殊部隊を隠密裏に潜入させ、地下施設(場所が特定されていることが前提)の濃縮ウランを破壊するか国外に持ち出すかすれば完了です。
②については、いくら大規模な空爆を行い大きな戦果をあげても、それだけでは達成不可能です。いくらイラン国民に蜂起を促しても武力を持たない一般国民は抹殺されて終わりです。革命防衛隊がクーデターを起こすのであれば政権転覆の可能性はありますが、その後の政権は米・イが望むものとはかけ離れたものになるでしょう。戦争目的が曖昧なので、長期戦になる危険性が残っています。
私がトランプ氏に望むことは、イスラエルの戦争目的(イランの政権転覆、体制変換、イランと言う国自体の壊滅)に引きずられることなく、戦争目的の「核開発阻止」は達成できたとして面目を保つとともに、11月の米国中間選挙を見据え、イラン攻撃に反対し物価高騰を懸念する米国民世論を考慮して、早期停戦を実行することです。既に大規模な空爆及びイランのミサイル攻撃に対する対空戦闘の結果、多くの武器弾薬が消耗してしまっています。それ即ち、米国の戦力が疲弊することを意味します。
米国の疲弊は、ウクライナに対する関心の希薄化や情報提供を始めとする支援の低下につながるだけでなく(注)、台湾への武力攻撃を企図する中国に「今がチャンス!」といった誤解を与えることにもなります。現状、習近平の中国は経済的困難を抱えていること、またイラン攻撃における米国の極めて高度な作戦遂行を見せつけられたことから軍事的冒険に出る可能性は少ないと考えますが、日本の安全保障を考えたとき、米国には常に余裕のある軍事力を保持しておいて欲しいのです。
(注):イランによるホルムズ海峡封鎖の影響で原油価格が高騰したため、トランプ氏はロシアの原油取引に関する経済制裁を1カ月間停止しました。これによりロシアは高い価格で原油を輸出できることになり、1日あたり250~1000億円(幅があるのは、見積した研究所及び原油価格が異なるため)もの漁夫の利を得ています。これ即ち、ウクライナ戦争の戦費に使われることを意味します。
間もなく高市首相は訪米しトランプ氏と会談します。当然国際法違反などと非難めいたことは言わないでしょうが、早期終結を促して、中国に隙を与えてはならない、ロシアにも隙を与えてはならないと訴えて頂きたいと考えます。それが中東に多くのエネルギー資源を依存している日本の国益、また日本の安全保障に適うものと考えます。
追記(3/14):報道によると、アメリカはホルムズ海峡通過時のタンカー護衛及び機雷除去にあたり日本の協力を求める可能性があるようです。


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