真剣な議論が必要ーハラル給食問題

諸事雑感

 現在、私が住んでいる宮城県利府町では小中学校の給食においては、食物アレルギーのある児童・生徒に一部のメニューや食材を変更して提供することを検討したものの、手間暇やコストが掛かることから断念し、保護者への献立表や本人の判断で特定のメニューを忌避することで対応してもらっているとのことです。

 今後、アレルギー体質の子供が増えることも予想されます。また宮城県が進めているインドネシアからの労働者(イスラム圏出身の外国人=ムスリム)が増えた場合、アレルギー対応とは別の宗教上の対応ーハラル給食ーが求められることになります。しかし、その場合には多大な手間とコスト(食材、調理器具等)が掛かるのではと懸念しています。

 ムスリムの保護者に一カ月間の給食献立表を渡して、「宗教上問題のあるメニューの日にはお弁当を持参してください」ということになるのかもしれませんが、「宗教には配慮しないのか?」と指摘されるのは目に見えていますし、それに応じた場合のコストをどこまで許容するのか、大変むずかしい問題です。しかし、現実化する前に、つまり泥縄対応を余儀なくされる前に、真剣な議論が必要だと思います。

実際に北九州市で起きた事例

 北九州市が、学校給食の献立を一部イスラム教徒向けに変更していたにもかかわらず、その事実を誤情報だと一方的に否定し、物議を醸しています。北九州市に住むイスラム教徒の保護者が、宗教上の理由から豚肉やポークエキスを除いた給食の提供を求める陳情を2023年に行い、市の教育委員会が求めに応じたとの情報がSNS上で拡散されました。

 そのため、北九州市や教育委員会に対して1000件を超える苦情や抗議の電話などが相次いでおり、職員らが対応に追われています。

 教育委員会は25日に会見を開き、改めて「ムスリムに特化給食を提供した事実はない」と否定しましたが、市議らの情報によると、今年2月に市長の肝煎り事業として「にこにこ給食」が提供され、表向きはアレルギーなどで給食を食べられない子供への配慮としながらも、「酢豚」を「酢鶏」に変更するなど、ムスリムへの配慮が行われていたとのことです。

 問題視した市議らは、市内の7校に在籍する19人のムスリムのために、約130校・4万人の子供たちの給食献立が変更されたと指摘しています。

 一方、武内和久市長は、この問題について「市民の外国人への不安や戸惑いが拡大した。国の無策のしわ寄せだ」「自民党総裁選でも国民の不満や不安を正面から受け止めた議論が十分に深まっていない。いかに外国人と共生をしていくのか明確な国家像を示して国民の不安を払拭してほしい」などと述べ、あくまで国の責任であると強調しています。

ムスリムから提出されたハラル給食提供を求める陳情

 陳情人は北九州市八幡西区に住むムスリムの女性で、2023年当時、小学3年生の娘と3人の甥を星ヶ丘小学校に通わせていました。

 イスラム教の教義では豚肉を口にすることが禁じられているため、この女性は以前から豚肉やポークエキスを除いた給食の提供を求めてきましたが、学校側は献立表を事前に渡す対応にとどまり、教育委員会も「予算や業者対応が必要」として消極的な姿勢を示したとのことです。

 この対応に不満を抱いた女性は同年に陳情書を提出し、「給食費を払っているにもかかわらず、5月は20日のうち16日、6月は22日のうち17日も満足に給食を食べられなかった」と訴えました。

 その上で、アレルギー対応食が認められているのだから、宗教上の禁忌食材を除去することも可能なはずだと主張しました。

 さらに、働きながら弁当を用意する負担の大きさを訴え、「給食は本来、学校が提供すべきものだ」と強調し、ムスリムに対応した給食を提供しないことは信仰の自由を侵害し、平等原則に反すると指摘しました。

 また、2018年時点で日本在住のムスリムは約20万人に達しており、2050年には約31万人に増える見込みであること、保育園では宗教対応の給食が実際に提供された事例があることにも触れ、多様性や共生社会の実現に向けて意義ある取り組みだと訴えたとのことです。

まとめ

 結局、この陳情は認められず、市内の学校でもムスリムに配慮した給食は提供されていませんが、今後ムスリムが増えれば、同様の要望がさらに数多く寄せられる可能性があります。利府町でも他人事、他自治体の事案と軽視せず、真剣に考える必要があります。

 また仮にハラル給食への対応を決定した場合、ヒンズー教徒から牛肉は食べられないから、それを除いたメニューにしてほしい!、或いは新興宗教信者からは野菜が戒律上禁じられているので、それを除いたメニューを!とか、きりなく対応を迫られることになりそうです。更に極論を言えば、アレルギーや宗教上の理由はないにも拘わらず、「うちの子は〇〇が食べられないから配慮してほしい!」といった無茶苦茶な要求が、アレルギーや宗教上の理由を装ってモンスターペアレントから提出される可能性もあり得ます。

 最終的な落としどころは、アレルギー対応までは許容し、宗教に関わる対応は受け付けないということになるでしょう。改めて憲法の関係条文を確認してみると、第20条で信教の自由等が規定されている一方、第89条で宗教に関わる公金の支出、便益の供与が禁止されているので、この辺を根拠にお断りすることになろうかと思います。

ところで、改めて第20条第1項を読むと、創価学会を母体とした公明党は政治に関わってはいけないのではないか?と考えさせられます。どういう法的整理で公明党は政党として活動しているのか、どなたかご教示下さい。また、村井宮城県知事がインドネシアからのムスリム労働者の永住を前提として土葬墓地を整備しようとしていましたが(過去形にしたのは知事選前に撤回表明したため)、行政が公金を支出して墓地整備した場合、憲法89条に照らすと憲法違反になるのではないかと思います。

第20条

  1. 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
  2. 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
  3. 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

第89条 

公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

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